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部署の異動
2016年11月22日
ある一定の年齢になり、
経理のような場所からいきなり専門的な製品の
営業周りを命じられた中高年の営業マンと一緒に仕事をすることがあった。

若いとき、メーカーの営業マンをしていたころ。

なんというか、血気盛んな頃でしたので、
当然中高年になって部署替えされてあたふたしている彼を
そう、少し見下すような気持ちがあったような気がする。

仕事はできるかできないかといえば、出来ない部類にされてしまうような感じだったから。

しかし、

彼は哲学科を卒業したんだと聞いて、
ぽそっとそれでいて、自身がしっかりある口調で
また、なんとも控えめに
「私がこの世の中に存在しているのは、その理由があるからだと思うのです」
といった。

彼の口から自信ありげな言葉を聞いたのはそれが最初で最後だけど。

それだけに何十年してもその言葉が忘れられなくて。


そのときは

何を言っているんだ、馬鹿らしい。もっと売ってくれよ、とおもった。

が、時間がたつほど重みを増して、いや、本当にそうなのだろう。
と思い出し、あの時実際たくさん売った人も、あんなにやり取りした人も
今や全くやり取りもなく、人の会社のものを人の会社に売っただけで
それは、僕らが売ったことになんてなっていないし、
もう何の意味もない。誰も覚えちゃいない。
でかい納品決めたと自信満々で言っていたやつら、その業績
誰も覚えちゃいない。
意味なんかない。

しかし、彼の思いはよっぽど意味がある。ぼくは忘れないんだから。

あなたはあなたの、あなただけの意味がある。

それだけで、生きている価値がある。すばらしいことかもしれない。